「何週間も、同じ重さから記録が伸びない」「始めたころはどんどん伸びたのに、最近まったく変わらない」――ベンチプレスを続けていると、ほとんどの人が一度はこの壁にぶつかります。
この記事では、谷町六丁目でパーソナルジムFUTUREを運営する私・小林(NESTA-PFT認定トレーナー)が、ベンチプレスが伸びない原因と、停滞を抜けるための具体的な方法を解説します。私自身、ベンチプレスを始めて約1年で100kgに届き、今の自己ベストは120kgです。ジムでは、運動経験がほとんどない方から100kgを目指す方まで、ベンチプレスの指導をしています。
結論:伸びない原因は「フォーム」「メニュー」「回復」の3つ
- 60kgくらいまでの初心者 → ほとんどが「フォームが毎回違う」ことと「練習の回数不足」
- 60kg〜100kgを目指す段階 → 「重さの増やし方にルールがない」ことと「弱い部分の放置」
- どの段階でも → 食事と睡眠が足りないと伸びない
まずは「バーがどこで止まるか」を確認し、フォームをスマホで撮って、記録をつけることから始めてください。
まず確認:それは本当に「停滞」?
ベンチプレスの記録は、体調や睡眠、前日の疲れで、日によって数kg上下します。1回挙がらなかっただけでは停滞ではありません。目安として、3〜4週間、同じ重さ・同じ回数から伸びていない状態を「停滞」と考えてください。
また、比べるときは条件をそろえることが大切です。
- お尻を浮かせたり、胸でバウンドさせたりして挙げた回は、記録に数えない
- 最大重量(MAX)だけでなく、同じ重さで何回できたかも見る
たとえば、60kgで8回だったのが10回できるようになったなら、MAXを測っていなくても確実に伸びています。MAXの数字だけを見て「伸びていない」と思い込んでいる方は、意外と多いです。
ベンチプレスが伸びない7つの原因
原因1:フォームが毎回違う
ベンチプレスは、肩甲骨の寄せ方、足の位置、バーを下ろす位置が少し変わるだけで、挙がる重さが大きく変わる種目です。フォームが毎回違うと力が逃げるうえに、記録が伸びたのか、たまたま挙がったのかも判断できません。初心者の停滞の原因は、ほとんどがこれです。
次のどれかに当てはまる場合は、フォームが安定していない可能性があります。
- セットの途中で肩がすくむ(肩が耳に近づく)
- 押すときにお尻がベンチから浮く
- バーを下ろす位置が、毎回違う
- 足の位置が毎回違う、押すときに足が動く
原因2:同じ重さ・同じ回数をくり返している
毎回「60kgで10回×3セット」を続けていると、体はその負荷に慣れて、それ以上強くなる理由がなくなります。筋力を伸ばすには、重さか回数を少しずつ増やし続ける必要があります。記録をつけていない方は、ほぼこの状態になっています。
原因3:毎回限界まで追い込む・MAXに挑戦しすぎる
毎週のように1回だけの最大重量に挑戦したり、全セットを潰れるまでやったりすると、疲れが抜けずに記録は少しずつ下がっていきます。限界ぎりぎりの回はフォームも崩れやすく、崩れたフォームを体に覚えさせることにもなります。普段の練習は「あと1〜2回できる」ところでセットを終えるのがおすすめです。
原因4:練習の回数が足りない
ベンチプレスは筋力だけでなく、「技術」の種目でもあります。週1回、胸の日に数セットやるだけだと、フォームが身につく前に1週間が空いてしまいます。初心者は週2回を目安にしてください。
どうしても週1回しか時間が取れない場合は、その1回でフォームを丁寧に練習するだけでも伸びます。後で紹介するお客様のS.M様も、週1回しか通えない週がほとんどでした。
原因5:弱い部分をそのままにしている
ベンチプレスは、主に胸(大胸筋)・肩の前側(三角筋の前部)・二の腕の裏(上腕三頭筋)で押す種目です。このうちどこか1つが弱いと、そこで記録が止まります。どこが弱いかは、次の章で紹介する「バーが止まる位置」でおおよそ分かります。
原因6:食事と睡眠が足りていない
筋肉をつくる材料はタンパク質で、体が回復するのは寝ている間です。トレーニングだけ頑張っても、材料と回復の時間が足りなければ記録は伸びません。
- タンパク質:体重1kgあたり1.6g前後がひとつの目安です(体重70kgなら1日110g前後)。肉・魚・卵・大豆製品を毎食とり、足りない分をプロテインで補います
- 睡眠:睡眠時間が短い日が続くと、疲れが抜けずに記録が落ちます
- ダイエット中:食べる量を減らしている期間は、ベンチプレスは伸びにくいのが普通です。この期間は「記録を維持できていれば十分」と考えてください
原因7:肩や手首の痛みをかばっている
肩や手首に痛みがあると、無意識にかばって力を出し切れません。重さを上げると痛む場合は、肩がすくんでいる、肘が開きすぎている、手首が後ろに倒れているなど、フォームに原因があることが多いです。手首を守る道具(リストラップ)については、パワーグリップの記事の中で解説しています。
ただし、痛みが強い、しびれがある、何日も痛みが続く、という場合は、トレーニングより先に整形外科を受診してください。
バーが止まる位置で、弱い部分がわかる
挙げきれなかったときに、バーがどこで止まったかを思い出してください。スマホで撮っておくと確実です。止まる位置によって、弱い部分と、足すとよい補助種目がおおよそ分かります。
| 止まる位置 | 考えられる原因 | おすすめの補助種目 |
|---|---|---|
| 胸から離れない (一番下) |
胸の筋力不足/下ろすときにコントロールできていない/胸でバウンドさせて挙げるクセがついている | 止めベンチ(胸の上で1〜2秒止めてから押す)、ダンベルプレス |
| 胸から少し上がったところで止まる (真ん中) |
肩の前側の筋力不足/押す方向(バーの軌道)がぶれている | インクラインベンチプレス、ショルダープレス |
| 最後に腕が伸びきらない (一番上) |
二の腕の裏(上腕三頭筋)の筋力不足 | ナローベンチプレス(手幅を狭くしたベンチプレス)、ディップス |
ただし、どの位置で止まる場合も、まずはフォームが原因でないかを確認してください。フォームが崩れたまま補助種目を増やしても、ベンチプレスの記録にはつながりにくいです。
なお、止めベンチや高重量を扱うときは、セーフティバー(バーを受け止める安全バー)を必ずセットするか、補助してくれる人についてもらってください。
停滞を抜ける5つの方法
方法1:フォームをスマホで撮って確認する
フォームは、自分の感覚だけではほとんど分かりません。重めのセットを、真横と足元側の斜めから撮って、次の点をチェックしてください。
- 肩甲骨を寄せて下げたまま押せているか(肩が耳に近づいていないか)
- お尻がベンチから浮いていないか
- バーを毎回、胸の同じ位置に下ろせているか
- 手首が後ろに倒れすぎていないか(バーが手のひらの付け根の上に乗っているか)
- 押すときに足が動いていないか
- 左右でバーが傾いていないか
直すポイントは、一度に1つだけにするのがコツです。いくつも同時に意識すると、どれも中途半端になります。
方法2:記録をつけて、重さの増やし方のルールを決める
停滞している方の多くは、その日の気分で重さを決めています。ノートでもスマホのメモでもいいので、毎回の重さ・回数・セット数を記録し、増やし方のルールを決めてください。たとえば、5回×3セットで行う場合は次のようなルールです。
- 3セットとも5回できたら → 次回は2.5kg増やす
- 1セットでも5回できなかったら → 次回も同じ重さ
- 同じ重さで2回続けて失敗したら → 重さを1割ほど下げて、もう一度積み上げる
2.5kgずつ増やせるプレート(片側1.25kg)がないジムでは、同じ重さのまま回数を1回ずつ増やしていき、決めた回数に届いたら重さを上げる方法でもかまいません。
方法3:重い日と軽い日を分ける
毎回同じ重さ・同じ回数でやるのではなく、週2回の練習を役割で分けると、疲れをためずに伸ばしやすくなります。
- 1回目(重い日):3〜5回できる重さで、3〜5セット。筋力を伸ばす日
- 2回目(軽い日):8〜10回できる重さで、3セット。筋肉を増やしながら、フォームを練習する日
方法4:弱い部分に合わせて補助種目を足す
上の表で弱い部分が分かったら、ベンチプレスのあとに補助種目を1〜2つ足します。種目を増やしすぎると疲れがたまってベンチプレス本番の練習の質が落ちるので、多くても2種目までにしてください。
方法5:疲れが抜けないときは、1週間だけ軽くする
記録が下がり続ける、関節が痛む、やる気が出ない、という状態が続くなら、疲れがたまっているサインです。1週間だけ、重さを普段の6〜7割に下げ、セット数も減らしてみてください。軽くした翌週に記録が戻る、むしろ伸びることもよくあります。休むことも、メニューの一部です。
初心者と経験者では「伸びない理由」が違う
どこで止まっているかによって、優先して見直すところは変わります。
| 今の記録 | よくある原因 | まずやること |
|---|---|---|
| 〜60kg | フォームが毎回違う/練習の回数が足りない | メニューを工夫する前に、毎回同じフォームで挙げられるようにする。週2回練習する |
| 60〜80kg | 重さの増やし方にルールがない/毎回追い込みすぎ | 記録をつけて、方法2のルールで少しずつ積み上げる。重い日と軽い日を分ける |
| 80〜100kg | 弱い部分の放置/食事・体重・回復が追いついていない | 止まる位置から弱い部分を見つけて補助種目を足す。食事量と睡眠を見直す |
※記録の区切りは、体重や性別によって変わるおおよその目安です。
実例:膝つき腕立て伏せができなかった方が、2ヶ月コースでベンチプレス55kg×10回へ
FUTUREのお客様の例を紹介します。S.M様は、ご入会時は膝をついた腕立て伏せを10回×3セットできない状態でした。お仕事が忙しく、週1回しか通えない週がほとんど。腰や肩の調子もあまり良くなかったため、はじめはコンディショニングを重点的に取り入れ、身体を整えながらフォームをつくっていきました。
2ヶ月コース(全16回)を終えるころには、ベンチプレス55kgを10回挙げられるようになりました。動画の時点では55kg×5回だったので、同じ重さのまま回数が倍になったことになります。最初に「停滞かどうかは回数でも見る」とお伝えしたのは、こういう伸び方があるからです。
もう一人、インフルエンサーの「らぁ麺が好きすぎる人」様は、バーベルのベンチプレスはほぼ未経験からのスタートでした。最初の2ヶ月は週2回、ベンチプレスを最優先に練習し、前半は安定しなかったフォームが、後半はしっかり胸に効かせて挙げられるようになりました。その後もトレーニングを続け、2023年8月に60kgだったベンチプレスは、2026年10月には90kgまで伸びています。詳しくはらぁ麺が好きすぎる人様の記事をご覧ください。
※効果・成果には個人差があります。掲載はご本人の同意を得ています。他のお客様の変化はビフォーアフターでも紹介しています。
自分で抜け出せないときは
次のどれかに当てはまる場合は、自分だけで抜け出すのは難しくなっています。
- 3ヶ月以上、記録がまったく変わらない
- フォームを撮ってみても、どこが悪いのか分からない
- 重さを上げると、肩や手首が痛む
フォームのクセは、自分では一番気づきにくいところです。一度トレーナーに見てもらい、今の自分のフォームと、何をどの順番で直せばいいかを知るだけでも、遠回りが減ります。
上本町・谷町六丁目でベンチプレスを伸ばしたい方へ
パーソナルジムFUTUREの「ベンチプレス強化コース」は、自己ベスト120kgの代表トレーナー・小林が、アーチ・足の位置・グリップ幅・バーの軌道までフォームを一つずつ見直し、今の記録と目標から逆算してメニューを組む、マンツーマン20回のコースです。大会に出る競技者ではなく、「100kgを挙げてみたい」「肩を痛めずに伸ばしたい」一般の方のためのコースです。谷町六丁目駅7番出口から徒歩3分、大阪上本町駅からも通えます。
よくある質問
Q. ベンチプレスは週何回やるのがいい?
A. 初心者は週2回が目安です。週1回でもフォームを丁寧に練習すれば伸びますが、自己流だと練習量が足りなくなりがちです。週3回以上は、疲れの管理ができるようになってからにしてください。
Q. 停滞したら、重さを下げたほうがいい?
A. 同じ重さで2回続けて失敗したら、1割ほど下げて積み上げ直すのがおすすめです。下げた重さでフォームを整え直すと、結果的に早く元の重さを超えられることが多いです。
Q. ベルトやリストラップを使えば伸びる?
A. 道具で挙がる重さが少し変わることはありますが、停滞の根本の原因はフォームとメニューです。道具は、フォームが固まってから使うものと考えてください。トレーニングベルトについてはトレーニングベルトの記事で解説しています。
Q. ベンチプレス100kgまで、どれくらいかかる?
A. 今の記録・体重・トレーニング経験によって大きく変わります。私は、ベンチプレスを始めて約1年で100kgに届きました。お客様の中には、2ヶ月で100kgに届いた方もいます(開始時の記録や経験によって個人差があります)。
まとめ
ベンチプレスが伸びない原因は、フォーム・メニュー・回復の3つに分けられます。初心者のうちはフォームと練習の回数、経験を積んでからは重さの増やし方と弱い部分、どの段階でも食事と睡眠が土台です。
まずは、バーがどこで止まるかを確認し、フォームをスマホで撮り、記録をつけるところから始めてみてください。それでも抜け出せないときは、FUTUREのベンチプレス強化コースで、フォームから一緒に見直しましょう。


